米国財務省の報告書の重要点

 

米国財務省は、我々の予想通り、かつ市場参加者の懸念に反して、為替操作国を正式に指定しませんでした。また、以前と変わらず、中国、日本、韓国、台湾、ドイツ、スイスの6カ国をモニタリングリストとしました。最新の報告書では為替操作の3つの評価基準は変更されなかったが、以前の報告よりも強く言及されました。米国財務省は、「積極的かつ慎重に不当な通貨措置を監視し、対抗するよう尽力する」と強調しました。

報告内の3つの変更点によってこの決意が見えてきます。

第1に、米国財務省は、2015年貿易円滑化・貿易履行強制法で定められた3つの基準のうちの2つを満たしていない場合であっても、米国の貿易赤字全体の大部分を占める国を監視リストに追加・保持することができるとした自由裁量権を同省が持つと決定しました。実際にこの報告書は、2016年10月の報告書の脚注とは対照的に、1988年包括通商競争力法を本文で参照しています。 1988年法では、2015年法によって設定された基準に関係なく国を指定することができます。

米国財務省は、二国間貿易赤字について明示的に言及することにより、ウィルバー・ロス米商務長官が主導する潜在的な貿易乱用に関する報告書の重要性を強調している。この報告書は、モニタリングリストに載っている6カ国のほか、カナダ、フランス、インド、インドネシア、アイルランド、イタリア、マレーシア、メキシコ、タイ、ベトナムの16カ国の米国貿易赤字の背景を分析する。 Q2中に報告予定されています。

第2に、この報告書では、最近の行動変化を認めたにも関わらず、中国、韓国、台湾における過去のドル買いFX介入の過去実績を強調した。

第3に、米国財務省は、FX介入を制限するために、これらの国々に「恒久的な政策転換」を示すよう明示した。私たちの見解では、これらの要因の組み合わせにより、USD-RMB、USD-KRW、USD-TWDはこれから困難な状況になってくると思われます。

 

米国財務省のモニタリングリストに対する国の評価に関する重要点

中国は、2016年に経常収支がGDPの1.8%に減少したことで、多国間の対外ポジションが大幅に調整されたことを米国財務省は認識しました。米国財務省は、大幅な人民元安を防ぐための中国のFX介入は米国、中国、世界経済にとっていいものであったと考えていました。しかし、米国財務省は、中国に対してより柔軟な為替レートにするよう、特に通貨高圧力が再開した際、専念し続けるよう要請した。また、経済不均衡に対処するための財政政策と構造改革の実施に加えて、米国の物品・サービスへのアクセスの増加を中国に要求した。

米財務省は、韓国と台湾については両国が昨年、外為市場で一方的介入を軽減したと強調し、我々の期待よりも良性であると示しています。しかし、米国財務省は、このような外貨政策転換が「恒久的」になることを両国が証明するよう強く要請しました。米国財務省はまた、IMFと国際経済研究所(PIIE)による評価を引用して、韓国ウォンと台湾ドルが過小評価されているという見解を維持しました。

米国財務省は引き続きユーロ圏からはドイツを選出し、大規模な対米黒字が懸念されていると述べています。また、ドイツの実質実効為替レートが低いという新たな見解を示し、ドイツの国内需要がより強くなる必要があると指摘しました。

日本とスイスに関しては、10月の報告書から日本の口頭介入についてのコメントは削除されましたが、昨年の10月とほとんど変化はありませんでした。米国財務省は、引き続き構造改革によって金融緩和政策を補完するように日本に促し、スイスは外国為替介入(一方的介入など)の必要性を減らすために政策金利ツールに対する信頼度を高めなければならないと提案した。

 

外為市場への示唆

我々の基本ケースシナリオとしては、米国財務省が今回、為替操作国を指定することはないが、今後より優れた柔軟さを追求するために基準を変更する可能性があるということだった。我々は、為替操作国を指定することは逆効果であり、実際に米ドルをより強くすると思っていました。

今回発表されたこの報告書は、多かれ少なかれ我々の期待に沿ったものでした。為替操作国の指定もせず、基準も変更せずに、米国財務省は他の方法で主張を強めました。

米国財務省は、3つの基準のうちの1つしか満たしていないのにもかかわらずモニタリングリストに中国を保持し、米国の二国間貿易赤字を強調することにより、自由裁量権を強化しました。

全体として、今回の報告書はアジア通貨、特に米国財務省の注目点であるCNY、KRW、TWDに若干の救済措置をもたらすでしょう。しかし、短期的には、今年はKRWとTWDがすでに十分に強まっているため、これらの通貨に対しては多大な措置を期待しないようにしています。また、地政学的リスクを通じたKRWの懸念が一部残っています。

中期的には、米国財務省は、これらの国が採用している外為政策にさらに焦点を当てる可能性が高いです。その他の状況が同じであれば、これは対米ドル剰余通貨の弱さを抑えることになるでしょう。中国は依然として重視されており、4月7日に執り行われた習大統領とトランプ大統領の会談で合意された米国の対中貿易に関する「100日計画」の進展のモニタリングと、ウィルバー・ロス米商務長官主導の米国の貿易赤字全体の大半を占める16カ国の潜在的な貿易乱用についての報告書に関心の目が向くでしょう。